(社)日本建築学会
災害委員会委員各位

 2003年5月26日の宮城県沖の地震および7月26日の宮城県北部地震につ いて、東北支部では熱心に調査活動を行っております。

 5月の宮城県沖の地震は比較的深い太平洋プレート内で生じた大地震 (M7.0)であり、広域で大きな揺れが感じられ、宮城県および岩手県の地 表では大きな加速度が観測されました。しかし、震度Y強の地域が発表 されたが、建築物への被害は比較的少ないものでした。特徴的な被害は、新幹線の橋脚の被害、緩やかな斜面の崩壊、鉄骨造体育館におけるブレ ースと非構造部材の損傷でした。

 7月の宮城県北部の地震は、比較的浅い陸地プレート内の逆断層による中規模な地震(M6.2)であり、その影響範囲は狭いものの、2.0Gを超える 加速度が観測され、震度Y強の地域があり、RC構造の柱のせん断破壊など建築構造物に大きな被害が生じております。

 以上の被害状況に対して、東北支部では拡大災害調査委員会(委員長:田中礼治東北工業大学教授)を開いて、2つの地震に対する調査活動を行っております。この調査活動について、災害委員会幹事である源栄正 人東北大学教授からも、災害委員会に協力を要請してきました。

 そこで、災害委員会主査・幹事で検討して、以下の事柄を災害委員会に提案させていただきます。ご意見をいただければ幸いです。尚、不賛成とする意見がない場合には、ご承認されたものとさせていただきます。

(1)災害委員会は東北支部の災害調査活動を支援する。
(2)東北支部の災害調査活動を支援するために、建築学会の災害に関する基金から調査費を援助するように理事会に申請する。
(3)東北支部からの要請に応じて、専門家を派遣して調査を支援する。
(4)東北支部に災害調査報告編集委員会を設置していただき、災害調査に参加した方にも声をかけて、災害調査報告を刊行していただく。報告書の大きさについては編集委員会が決め、刊行部数は売れる見込みを考慮して事務局が決める。

 以上、よろしく御審議いただきたく存じます。
 小谷俊介(災害委員会委員長)


 なお、9月に中部大学(名古屋)で開催される建築学会大会においては、災害調査速報会を予定しております。場所・時間は決まり次第委員各位 に連絡させていただきます。